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相続税入門編 相続税の計算方法について

相続税の計算方法について整理してみました。ご一読いただけますと幸いです。 

★上記の計算の進め方を下記に整理してみました。下記に記載した内容を見Aながら上図を順番に確認してみてください。


①相続財産の把握と正味の相続財産の総額を算出する。

まず、上図①の相続財産の総額から債務及び葬式費用を控除します。

相続財産の総額とは、本来の相続財産、みなし相続財産、相続時精算課税対象財産、相続開始前三年以内の贈与財産を合計したものをいいます。 その相続財産の総額から債務及び葬式費用を控除すると「正味の相続財産の総額」が算出されます。


②相続税が課税される財産を求める。

上図②「正味の相続財産の総額」から基礎控除(3,000万円プラス600万円×法定相続人の数)を差引きしますと相続税が課税される財産が算出されます。


③法定相続分の金額を求める。

②で求めた相続税が課税される財産を各相続人が法定相続分に応じて財産を取得するものといったん仮定して財産を仮に配分します。上図では、参考までに第1順位を記載しています。

第1順位 配偶者の法定相続分は1/2、残りは子・孫で均等に法定相続分を有します。

第2順位 第1順位の法定相続人がいない場合、配偶者の法定相続分は2/3、残りは直系尊属で均等に法定相続分を有します。

第3順位 第1・2順位の法定相続人がいない場合、配偶者の法定相続分は3/4、残りは兄弟姉妹で均等に法定相続分を有します。


④相続税の総額を求める。

③で仮に求めた各相続人の取得財産に基づいて相続税の速算表に当てはめて税額を算定します。これを合計したものが上図④の相続税の総額です。 (相続税の総額は、相続財産を実際にどのように分割したかとは関係なく、民法に規定されている法定相続分に基づいて機械的に求められるものです。)


⑤各相続人が取得した財産額に応じて相続税の総額を按分する

④の相続税の総額を、実際に各相続人が相続した課税財産額で按分する。換言すると④で相続税の総額を機械的に求めた後に、実際の相続財産の持ち分に応じて相続税額の総額を按分することになります。


⑥税額控除を差し引く

配偶者に対する相続税額の軽減、贈与税額控除、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、在外財産に対する控除などの税額控除を差し引く。


⑦納めるべき相続税額

こうして求めた金額が、各相続人の相続税額となります。



前記のように、①の相続財産の総額から正味の相続財産総額を求めることになります。

相続財産の総額とは、本来の相続財産、みなし相続財産、相続時精算課税対象財産、相続開始前三年以内の贈与財産を合計したものをいいます。 この相続財産の総額から、債務及び葬式費用を控除した金額を正味の相続財産総額といいます。

次に、その正味の相続財産の総額から相続税の基礎控除(基礎控除3000円プラス600万円×法定相続人の数)を 差し引きし、相続税が課税される財産を求めます。課税される相続財産が算出できたら次に民法で定められ 法定相続分で各相続人が相続したものと仮定して法定相続分で課税される相続財産を按分します。 各相続人の相続税を算出します。そこで算出された相続税を合算し相続税の総額を算出します。

相続税の総額が計算できれば、その総額を各相続人が実際に取得した相続財産に応じて財産按分し、各相続人の相続税額を計算することになります。

以上、相続税の計算方法についてまとめてみました。


日本の相続税法の特徴的なところは、民法に定められている法定相続分を使用して、機械的に相続税の総額を求めた後に、 その相続税額を実際の相続財産の取得に応じて按分するところです。他の国には見られない方法を取っております。

なお、相続財産の総額が、基礎控除内(基礎控除3000円プラス600万円×法定相続人の数)である場合は、相続税の申告書を提出する必要はございません。


以上、少しでも参考になれば幸いです。



― 執筆 ―
株式会社平松経営改善研究所
平松大税理士事務所
経営心理士 税理士 平松大
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